診療支援
治療

1 多発性内分泌腫瘍症
multiple endocrine neoplasia(MEN)
櫻井 晃洋
(札幌医科大学教授・遺伝医学)

疾患を疑うポイント

●特定の内分泌腫瘍の個人・家系内での集積.

●若年での発症,多発・再発.

学びのポイント

●複数の病変の合併をもとに診断される疾患で,疑わしい症例に対する効率的な検索が重要.

●同じ病変でもMENか否かで治療方針が異なるものがある.

●適切な遺伝学的検査による診断が必要.

●同じリスクを有する可能性がある血縁者へのアプローチも必要となる.

▼定義

 原因遺伝子の病的バリアント(変異)により,特定の内分泌臓器を中心に良性・悪性の腫瘍性病変を発症する常染色体優性遺伝性疾患.

▼病態

 MEN1とMEN2は,それぞれ病態も原因遺伝子も異なる別個の疾患である.いずれも常染色体優性遺伝性疾患で,変異保持者はほぼ100%の確率で生涯のうちになんらかの関連病変を発症する.変異遺伝子は50%の確率で親から子に伝わる.

MEN1

 腫瘍抑制遺伝子であるMEN1機能喪失型変異により,特定の臓器に腫瘍性病変を発症

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