診療支援
治療

3 カルチノイド症候群
carcinoid syndrome
後藤 孔郎
(大分大学講師・内分泌代謝・膠原病・腎臓内科学)

疾患を疑うポイント

●一部の神経内分泌腫瘍が,カルチノイド症候群を引き起こす生理活性物質を分泌する.

●皮膚紅潮,消化器症状(下痢,腹痛),喘鳴などがみられる.

学びのポイント

●主な原因物質はセロトニン(下痢や腹痛を引き起こす)およびヒスタミン(皮膚紅潮,血管拡張を引き起こす).

●診断は,セロトニン代謝物である5-HIAAの検出により行う.

●治療としてはソマトスタチン誘導体が有用.

●転移性疾患であるにもかかわらず,腫瘍の成長は遅く,10~15年の生存も可能.

●「カルチノイドクリーゼ」とよばれる特殊な致死性の病態がある.

▼定義

 消化管神経内分泌腫瘍〔主に中腸(小腸,虫垂,大腸近位)由来〕と一部の非腸管神経内分泌腫瘍からセロトニン,ヒスタミン,タキキニンなどのアミンやペプチドが分泌されて起こる症候群.

▼病態

 主に消化管神経内分泌腫瘍によって引き起こされ,発作性の皮膚紅潮,下痢や腹痛などの消化器症状,

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