疾患を疑うポイント
●一部の神経内分泌腫瘍が,カルチノイド症候群を引き起こす生理活性物質を分泌する.
●皮膚紅潮,消化器症状(下痢,腹痛),喘鳴などがみられる.
学びのポイント
●主な原因物質はセロトニン(下痢や腹痛を引き起こす)およびヒスタミン(皮膚紅潮,血管拡張を引き起こす).
●診断は,セロトニン代謝物である5-HIAAの検出により行う.
●治療としてはソマトスタチン誘導体が有用.
●転移性疾患であるにもかかわらず,腫瘍の成長は遅く,10~15年の生存も可能.
●「カルチノイドクリーゼ」とよばれる特殊な致死性の病態がある.
▼定義
消化管神経内分泌腫瘍〔主に中腸(小腸,虫垂,大腸近位)由来〕と一部の非腸管神経内分泌腫瘍からセロトニン,ヒスタミン,タキキニンなどのアミンやペプチドが分泌されて起こる症候群.
▼病態
主に消化管神経内分泌腫瘍によって引き起こされ,発作性の皮膚紅潮,下痢や腹痛などの消化器症状,