診療支援
治療

(2)甲状腺ホルモン不応症
resistance to thyroid hormone(RTH)
菅原 明
(東北大学大学院教授・分子内分泌学)

▼定義

 甲状腺ホルモンの標的臓器への作用が減弱している状態であり,検査所見上は血中FT4(およびFT3)が上昇しているにもかかわらず血中TSHが抑制されていない,いわゆる不適切TSH分泌症候群(syndrome of inappropriate secretion of TSH:SITSH)を呈する.

▼病態

 甲状腺ホルモン受容体(thyroid hormone receptor:TR)にはαとβの2種類が存在するが,RTH患者の85%でTRβの遺伝子異常(160種類以上)が認められている.図7-51に示されるように,TRβ遺伝子の変異はT3結合領域内の3領域に限定されている.15%の患者ではTRβ遺伝子の異常は認められず,転写共役因子などの異常が想定されている.また,80%の症例は家族内発症で常染色体優性遺伝を示すが,20%では散発性の発症である.病因の本態は,変異TRβが有するドミナン

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