診療支援
治療

【17】非ホジキンリンパ腫
non-Hodgkin lymphoma(NHL)
伊豆津 宏二
(国立がん研究センター中央病院・血液腫瘍科科長)

疾患を疑うポイント

●表在や胸部・腹部の深在リンパ節などに多発リンパ節腫大をきたす.

●高齢者に多い.

学びのポイント

●悪性リンパ腫は,リンパ球に由来する悪性腫瘍.Hodgkinリンパ腫以外の悪性リンパ腫を総称して非Hodgkinリンパ腫(NHL)といい,多数の疾患(病型)に分類される.

●臨床像・治療・予後は疾患によって異なるが,一般的には化学療法や放射線療法に対する感受性が高い.

●代表的な疾患であるDLBCLは,化学療法により治癒が期待できる.

▼定義

 成熟リンパ球由来の悪性腫瘍(例外的にリンパ芽球性リンパ腫は前駆リンパ球由来)の総称で,B細胞由来,T細胞由来,NK細胞由来の疾患(病型)がある(表8-56)

▼病態

 リンパ節,扁桃,脾臓,胸腺などのリンパ組織と,それ以外の臓器(節外臓器)に病変を生じ,リンパ節腫大や,臓器内腫瘤,臓器腫大などをきたす.疾患により病変を生じる臓器に特徴がある.腫大リンパ節による周囲臓器の圧迫やリンパ腫の臓器浸潤により症状や臓器障害をきたす.一部の病型では主な病変が骨髄・血液にあり,成熟リンパ球由来の白血病の各病型との鑑別診断が必要となる.

▼疫学

 日本での悪性リンパ腫の罹患数は年間で約3万人と推定されており,そのうちNHLは約95%を占める.NHLのうちびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)が最も多く約30%,ついで濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma:FL)や節外性辺縁帯リンパ腫・粘膜関連リンパ組織型(MALTリンパ腫)などが続く.一部の疾患を除いて,発症年齢中央値は60~70歳代と高齢者に多い.全体として男性の比率が高い.

 悪性リンパ腫の罹患数は欧米人に比べ日本人で少ないが,節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型など一部の病型は日本・東アジアに多い.

▼分類

 NHLは,B

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