診療支援
治療

2 腎形態の評価と意義
伊藤 孝史
(島根大学医学部附属病院・腎臓内科診療教授)

 腎・尿路は後腹膜腔にあるため,一般診察(打診,触診)だけでは十分な診断が難しい.そのため,以下に示すような画像検査が重要である.

腹部超音波検査

 超音波検査は非侵襲的で簡便に実施が可能であるため,スクリーニングから精密検査,治療の経過観察にまで幅広く利用されている.腎機能低下症例にも施行可能である.腎臓の腫瘤性病変,囊胞性病変,結石,水腎症などの診断に有用である.また,ドプラを用いれば腎血流の評価も可能であり,腎移植後の拒絶反応の鑑別も可能である.

 急性腎障害の場合には,超音波検査にてまず腎後性を否定する.次に,腎臓の萎縮の有無を確認し,萎縮がなければ急速進行性腎炎症候群の可能性が高くなる.慢性腎不全の場合には,腎臓が萎縮して小さくなるとともに,皮質の輝度が上がり,急性腎障害と鑑別が可能である.

 また,ドプラ検査をすることにより,腎動脈の狭窄の有無も評価することができる.

腹部単純X線撮影・KUB

 腹部単純X線撮影は,第11肋骨から坐骨結節までの臥位単純撮影で,腎臓の大きさ,輪郭,後腹膜の石灰化,尿路結石などの診断をする.腎尿管膀胱部単純撮影(plain film of kidney-ureter-bladder:KUB)は肝下縁から恥骨結合下縁までの臥位単純撮影である.尿路結石の診断に重要で,腹部単純X線撮影よりも管電圧が低く,腎臓,尿管,膀胱と結石のコントラストが高くなり検出しやすくなる.

経静脈性尿路造影

‍ 経静脈性尿路造影は,経静脈性に造影剤を注入し,腎盂・腎杯,尿管,膀胱を造影する方法である.尿路の状態,腎臓の大きさ・形,腎臓の排泄機能などについて情報を得ることができる.

 造影剤注入1~2分後に腎実質像を撮影し,腎臓の大きさ・形,位置,腎実質の造影効果をみる.5分後は腎盂・腎杯,尿管が造影され,左右差や排泄遅延をみる.15分後は腎盂・腎杯,尿管に加え,膀胱内が造

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