学びのポイント
●生体の酸塩基平衡は細胞機能を維持するために一定の範囲(pH 7.35~7.45)に調整されている.
●pHを適正な範囲に維持するのに①細胞内外の緩衝系,②呼吸によるCO2の調整,③腎臓でのH+,HCO3-の調整などさまざまなメカニズムが関与している.
●血液ガスは段階的なアプローチで解釈する.
▼定義
酸塩基平衡とは,体液中の水素イオン(H+)濃度を正常な状態に維持することである.動脈血のH+濃度はpHで表され,健常状態の動脈血pHは7.35~7.45を維持するように体内で厳密に調整されている.pHが7.35より小さい場合を酸血症(アシデミア),7.45より大きい場合をアルカリ血症(アルカレミア)とよび,アシデミア,アルカレミアを引き起こす病態をそれぞれアシドーシス,アルカローシスとよぶ.
▼病態
体内では毎日の代謝で絶えず多量の酸が生成されている.炭水化物,脂肪の代謝により1日15,000~20,000mmolの二酸化炭素CO2(揮発性酸)と水H2Oが産生されるが,呼吸機能が正常であれば揮発性酸は呼気中に排泄され体内には蓄積しない.また蛋白質の代謝により硫酸やリン酸などの腎排泄が必要な不揮発性酸(CO2のように気体として排泄されない酸)が1日50mmol産生される.これらの多量の酸の産生にもかかわらず,動脈血のpHは一定に保たれている.pHを正常に維持するメカニズムは①細胞内外でのH+の緩衝,②呼吸の代償作用,③腎臓の代償作用である.緩衝と呼吸の代償作用は数分から数時間以内にすみやかに起こるのに対して,腎の代償作用は数時間から数日を要する.
▼分類
●Henderson-Hasselbalch(ヘンダーソン-ハッセルバルヒ)の式:
pH=pK+log[HCO3-÷(0.03×PCO2)]
正常値はpH 7.4,HCO3-/CO2緩衝系の解離定数pK=6.1,PCO2
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