診療支援
治療

【1】急性腎障害の病態,診断,治療
acute kidney injury
土井 研人
(東京大学大学院准教授・救急科学)

疾患を疑うポイント

●急激な尿量減少や数日で進展する血清クレアチニン濃度の上昇がみられる.

●腎障害単独であることよりも多臓器不全の一分症として生じることが多い.

学びのポイント

●急性腎障害はさまざまな臨床場面に生じうる症候群であり,その原因となる病態はさまざまであるが,急性腎障害の発症はどのような場合においても有意に死亡率を増加させることが知られている.

●急性腎障害の診療においては,常に原因の鑑別と可逆的要因を除くことが求められる.

●急性腎障害に対する特異的かつ有効な治療方法はいまだ臨床応用に至っておらず,基礎研究の成果が臨床に還元されることが期待されている.

▼定義

 急性腎障害(acute kidney injury:AKI)は急激な腎機能低下により生体恒常性の維持が困難となる病態であり,その原因は多岐にわたる.

▼病態

 腎実質の細胞・組織障害によるAKIの原因として最も多いものは虚血あるいは腎

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