▼定義
造影剤腎症(contrast-induced nephropathy:CIN)はヨードを含む造影剤によって惹起される腎障害である.造影剤投与後に急な腎機能低下が生じており,造影剤以外の原因(コレステロール塞栓や心不全増悪など)が除外される場合に診断できる〔本章の→も参照〕.
▼病態
活性酸素による尿細管上皮細胞障害と血管収縮による腎血流量の低下,腎髄質の低酸素が主たる病態と考えられている.
▼疫学
一般的に腎機能低下は可逆的であり,血清クレアチニン濃度は3~5日程度かけて上昇し,7~14日後にはベースライン値に戻ることが多い.乏尿を呈することは少なく,血清クレアチニン濃度の上昇も検査値の異常にとどまり臨床的に問題となることはあまり多くないが,特に慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)を合併している症例においては,腎機能低下が進行して血液浄化療法を必要とするこ