学びのポイント
●生体膜である腹膜を用いて,腎不全のために蓄積した過剰体液や溶質の除去を行うもの.
●日本では,血液透析が圧倒的に多く,腹膜透析の普及率は3%程度と低い.
●腹膜透析液の生体適合性の改良や残存腎機能消失例に対する血液透析併用療法により予後が改善する可能性がある.
▼原理
腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)では,生体膜(半透膜)である腹膜を用いて,浸透と拡散の原理で腎不全のために蓄積した過剰体液や溶質の除去を行う(図9-31図).
▼疫学
日本では,腎不全治療技術が進歩し医療保険制度が整備された結果,すべての末期腎不全患者に透析療法〔PDと血液透析(hemodialysis:HD)〕,および腎移植を提供できる医療体制が確立した.現在日本でのPDの普及率は3~4%程度と少ない.HDが先に発展・普及した歴史や初期のPDにみられた硬化性腹膜炎という合併症が知られ,199