疾患を疑うポイント
●同じ心血管疾患でも健常人とは異なった発症病態をとることが多い.
●各心血管疾患の典型的な症状がないことが多い.
●検査の異常所見により偶然発見されることが珍しくない.
学びのポイント
●維持透析患者の死因の40%が心血管疾患による.うっ血性心不全,致死性不整脈による心臓突然死が特に高率で心筋梗塞,脳血管疾患,末梢動脈疾患も合併する.
●腎臓病では動脈硬化が促進的に進行する.特にMönckeberg(メンケベルグ)型中膜石灰化は維持透析患者の特徴的変化であり,すべての心血管疾患の発症に深くかかわっている.
➊うっ血性心不全
維持透析患者の死因の約25%は心不全死である.虚血性心筋症,弁膜症性心筋症,高血圧性心筋症といった左室収縮能,拡張能障害をきたす心筋症が潜在し,体液過剰が容易に起こりうることにより,うっ血性心不全を発症しやすい.維持血液透析は1週間に3日行う不規則な治療法であり,