診療支援
治療

1 腎移植の適応と実際
西 慎一
(神戸大学大学院教授・腎臓内科)

▼定義・分類

先行的腎移植(preemptive kidney transplantation:PEKT)

 一度も透析療法を受けずに腎移植を受ける形式を先行的腎移植とよぶ.しかし,例えば数週間程度の短期間,透析療法を受けてから腎移植を受ける形態もPEKTとする考え方もある.したがって,PEKTとnon-PEKTに明確な定義はない.日本の場合,PEKTにおいてはドナーはほぼ親族に限定されており,PEKTはほぼ生体腎移植と考えてよい.ドナーが豊富な海外では,死亡した非親族ドナーからPEKTを受ける場合もある.

非先行的腎移植(non-PEKT)

 一般的には,長期の維持透析患者が腎移植を受ける形式である.ドナーが親族である生体腎移植とドナーが死亡した非親族である献腎移植の2つの形式に分かれる.

▼疫学

 わが国では,2010年代後半,毎年1,600~1,700人ほどの症例が腎移植を受けている.201

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