➊生体腎移植ドナー術前検査
基本的には,レシピエントとほぼ同じ検査を行う〔本章「レシピエントの術前評価」の項の表9-25図参照〕.術前検査では,腎機能の評価が基本的に重要である.糸球体ろ過量をまず評価する.推算糸球体ろ過量のみでなく,クレアチニンクリアランス,イヌリンクリアランスなど複数の方法で腎機能を評価する.腹部エコー,造影腹部CT,腎シンチグラフィなどにて,腎形態や分腎機能検査を行う.腎機能の左右差が認められる場合は,機能低下している側を提供腎として選択する.また,腎血管造影を施行し,腎動脈あるいは腎静脈の走行を確認する検査も必須である.通常は,手術時に長く腎静脈が確保できる左腎を提供腎とするが,腎動脈あるいは腎静脈が複数に分岐している症例では血管修復手術が必要となる.その分岐状態によっては,右腎の選択をする場合もある.
ドナーに関しても,レシピエントと同居あるいは接触する可能性がド