診療支援
治療

4 抗糸球体基底膜(GBM)病
anti-glomerular basement membrane(GBM) disease
要 伸也
(杏林大学教授・腎臓・リウマチ膠原病内科学)

疾患を疑うポイント

●抗GBM抗体型糸球体腎炎は,臨床的にRPGNやAKIの経過をとる.

●組織学的にびまん性の壊死性半月体形成性糸球体腎炎を認め,蛍光抗体法で係蹄壁にIgGの線状沈着(linear pattern)がみられるのが特徴である.

●肺出血を合併すればGoodpasture症候群とよばれ,生命予後は不良である.

学びのポイント

●抗GBM病(anti-GBM disease)の腎病変である抗GBM抗体型糸球体腎炎は,RPGNの経過をたどる予後不良の疾患であり,肺出血を伴えばしばしば致死的となる.

●高齢者に多い.抗GBM病の約20~30%でANCAが陽性(特にMPO-ANCA)となることが知られている.

▼定義

 抗GBM病とは,抗糸球体基底膜(glomerular basement membrane:GBM)抗体によって引き起こされる予後不良の腎・肺病変を指す.このうち腎病変を抗GBM抗体型糸球体腎炎とよぶ.

▼病態

 抗GBM抗体の対応抗原は,糸球体基底膜や肺毛細血管基底膜に分布するⅣ型コラーゲンα3鎖のC末端noncollagenous domain 1(NC1ドメイン)と考えられている.通常エピトープは基底膜内に埋没しているが,インフルエンザなどの感染,喫煙などで基底膜に障害が生じ,隠れていたエピトープが露出し,抗GBM抗体が産生されると考えられる.抗GBM抗体は腎糸球体や肺の毛細血管の基底膜抗原へ結合し,高度の血管炎を生じる.

▼疫学

 頻度は比較的まれであり,発症率は人口100万人あたり0.5~1.0人/年とされる.厚生労働省の調査によると,平成18年度までに集積された1,772例の急速進行性糸球体腎炎(rapidly progressive glomerulonephritis:RPGN)症例のうち抗GBM抗体型糸球体腎炎は4.6%,肺出血を伴うGoodpasture(グ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?