疾患を疑うポイント
●B型肝炎,C型肝炎ウイルス持続陽性患者で,蛋白尿(ネフローゼ症候群を呈することが多い),血尿,あるいは腎機能低下を呈する.
学びのポイント
●肝外症状の1つであり,進行すると末期腎不全で透析に至り,死亡率の増加に関連する.
●B型肝炎では,膜性腎症が,C型肝炎では,クリオグロブリン血症を伴う膜性増殖性糸球体腎炎が代表的である.
●ウイルス性肝炎の治療が基本である.C型肝炎関連腎症で,蛋白尿が高度例,進行例では,免疫抑制療法が有効である.
▼病態
B型肝炎ウイルス関連腎症は,HBe抗原を含む免疫複合体が腎糸球体上皮下に沈着する膜性腎症が代表的であり,HBs抗原を含む免疫複合体では膜性増殖性糸球体腎炎をきたす.頻度は少ないが,IgA腎症,血管炎をきたすことがある.
C型肝炎ウイルス関連腎症は,C型肝炎ウイルスを抗原とした免疫複合体が腎糸球体内皮下に沈着して起きる膜性増殖性糸球体腎炎が代表的である.C型肝炎ウイルスに感染したBリンパ球がIgMリウマチ因子を産生するⅡ型クリオグロブリン血症が70%にみられる.その他,膜性腎症,巣状糸球体硬化症,細線維性糸球体腎炎,イムノタクトイド糸球体症もみられることもある.
▼疫学
B型肝炎ウイルス関連腎症は,小児に比較的多く,B型肝炎の3~5%にみられる.
C型肝炎ウイルス関連腎症は,C型肝炎患者のおよそ1/3に種々の臨床徴候で発症する.
▼診断
肝炎ウイルス検査が陽性で,蛋白尿,血尿で発症し,ネフローゼ症候群を呈することも多く,末期腎不全に至ることもある.
C型肝炎ウイルス関連腎症では,低補体価血症,Ⅱ型クリオグロブリン血症が70%でみられる.
確定診断には腎生検が必要で,B型肝炎ウイルス関連腎症では,膜性腎症が,C型肝炎ウイルス関連腎症では,Ⅰ型膜性増殖性糸球体腎炎を呈することが多い.いずれも,ウイルス関連抗原が免疫グロブリンや補
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/リツキシマブ(遺伝子組換え)《リツキサン》
- 臨床検査データブック 2023-2024/C3 [小][保] 70点
- 新臨床内科学 第10版/3 慢性肝炎
- 今日の治療指針2023年版/レジパスビル・ソホスブビル
- 新臨床内科学 第10版/7 自己免疫性肝炎
- 新臨床内科学 第10版/2 急速進行性糸球体腎炎症候群
- 臨床検査データブック 2023-2024/抗ストレプトキナーゼ抗体〔ASK〕 [保] 29点
- 新臨床内科学 第10版/1 全身性エリテマトーデスに伴う腎病変
- 臨床検査データブック 2023-2024/自己免疫性肝炎(AIH)
- 今日の小児治療指針 第17版/慢性肝炎
- 今日の小児治療指針 第17版/ループス腎炎
- 新臨床内科学 第10版/23 ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)感染症
- 今日の小児治療指針 第17版/膜性腎症