診療支援
治療

6 バーター症候群
Bartter syndrome
柴田 茂
(帝京大学教授・内科学)

▼定義

 1962年に初めて報告された常染色体劣性の遺伝性疾患.新生児~乳幼児期に発症し,低カリウム血症と代謝性アルカローシスを特徴とする.

▼病態

 Bartter症候群の責任遺伝子としてNa-K-2Cl輸送体(NKCC2)の異常が同定され,その後Kチャネル(ROMK),Clチャネル(ClC-Kb),Clチャネルβサブユニット(Barttin)の遺伝子異常が次々と明らかにされた(表9-51).これらはいずれも腎臓ヘンレ係蹄の太い上行脚(thick ascending limb:TAL)において食塩の再吸収にかかわる分子であり,Bartter症候群はTALにおける食塩再吸収の低下が病態の中心と考えられる.TALに存在するCa感知受容体(CaSR)の機能活性型変異もBartter症候群の原因となることが報告されている(Bartter症候群5型).

 TALで再吸収される食塩の量は尿細管全体で

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