▼腎サイズの変化
妊娠中は,血管や間質の変化により,腎容積は約30%増大し,1~1.5cm長くなる.尿路系の拡張もみられ,特に右腎に水腎症を生じやすい.
▼腎血漿流量,糸球体ろ過量の変化
妊娠成立後,プロゲステロンなどの作用により,平均血圧,全身血管抵抗は低下,心拍出量,腎血漿流量(renal plasma flow:RPF),糸球体ろ過値(GFR)は増加する.GFRは妊娠4週で20%,9週で45%増加,満期に40%増加する.妊娠初期にはRPFのほうが増加するため,ろ過率(filtration fraction:FF)はやや低下する.妊娠12週から妊娠後期にかけてRPFは非妊娠時レベルまで低下するが,GFRは上昇し続けるため,FFは上昇する.これらの値は出産後4~6週で非妊娠時の状態に戻る.
▼循環血漿量,血圧の変化
妊娠中は腎以外に卵巣と脱落膜からレニンが産生され,またエストロゲンの影響によ