▼定義・病型分類
妊娠時に高血圧を認めた場合,妊娠高血圧症候群とする.妊娠高血圧症候群は➊妊娠高血圧腎症,➋妊娠高血圧,➌加重型妊娠高血圧腎症,➍高血圧合併妊娠に分類される.
➊妊娠高血圧腎症
①妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し,かつ,蛋白尿を伴うもので分娩12週までに正常に復する場合,②妊娠20週以降に初めて発症した高血圧に,蛋白尿を認めなくても基礎疾患のない肝障害,進行性の腎障害,脳卒中,神経障害,血液凝固異常のいずれかを認める場合で,分娩12週までに正常に復する場合,③妊娠20週以降に初めて発症した高血圧に蛋白尿を認めなくても子宮胎盤機能不全を伴う場合である.
➋妊娠高血圧
妊娠20週以降に初めて高血圧を発症し,分娩12週までに正常に復する場合でかつ妊娠高血圧腎症の定義に当てはまらないものである.
➌加重型妊娠高血圧腎症
①高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,妊娠20週以降に蛋白尿,もしくは基礎疾患のない肝腎機能障害,脳卒中,神経障害,血液凝固異常のいずれかを伴う場合,②高血圧と蛋白尿が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,妊娠20週以降にいずれかまたは両症状が増悪する場合,③蛋白尿のみを呈する腎疾患が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,妊娠20週以降に高血圧が発症する場合,④高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,妊娠20週以降に子宮胎盤機能不全を伴う場合である.
➍高血圧合併妊娠
高血圧が妊娠前あるいは妊娠20週までに存在し,加重型妊娠高血圧腎症を発症していない場合である.
関連疾患として,子癇(eclampsia,妊娠20週以降に初めてけいれん発作を起こし,てんかんや二次性けいれんが否定されるもの),HDPに関連する中枢神経障害,HELLP症候群(溶血所見,肝機能障害,血小板減少を同時に伴うもの),肺水腫,周産期心筋症がある.
▼病態
病態はいまだに
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/メチルドパ水和物《アルドメット》
- 治療薬マニュアル2024/ニフェジピン《アダラート セパミット》
- 臨床検査データブック 2023-2024/エストリオール〔E3〕 [保]* 180点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/ヒト胎盤性ラクトゲン〔HPL〕 [保] 136点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/妊娠高血圧症候群(HDP,PIH)
- 今日の治療指針2023年版/多胎妊娠(双胎間輸血症候群を含む)
- 今日の治療指針2023年版/妊娠高血圧症候群(HELLP症候群を含む)
- 今日の治療指針2023年版/胎児発育不全(子宮内胎児発育遅延)
- 今日の治療指針2023年版/ドパミン受容体作用薬
- 今日の治療指針2023年版/黄体ホルモン製剤