▼腎臓からの薬物の排泄
腎臓からの薬物の排泄は,糸球体ろ過,尿細管分泌および尿細管再吸収の3つのプロセスのバランスで定まる.
糸球体ろ過は物理的な単純ろ過と考えられており,アルブミンやα1酸性糖蛋白などの血漿蛋白に結合していない遊離形薬物に対してのみに働く.
尿細管分泌は,細胞膜上のトランスポーターによる尿中への能動的輸送によるものである.尿細管細胞の血管側膜と尿細管側膜には,それぞれ基質特異性の異なる複数のトランスポーターが発現しており,その総合的な輸送能力が排泄の効率を定める.
尿細管再吸収は,いったんは糸球体ろ過あるいは尿細管分泌により尿管中に移行した薬物が,再吸収により血中に戻されるプロセスである.再吸収は主に受動的輸送によると考えられ,薬物の物理化学的性質により基本的な再吸収性が定まる.ただし,グルコースや水溶性ビタミンが再吸収されることから明らかなように,能動的輸送も存在