診療支援
治療

(1)脳血管れん縮
cerebral vasospasm
鈴木 秀謙
(三重大学大学院教授・脳神経外科学)

▼定義

 くも膜下出血(subarachnoid hemorrhage:SAH)後4~14日目(あるいはそれ以降)に破裂脳動脈瘤近傍を中心に生じる主幹脳動脈内腔(脳血管造影で描出可能な太い動脈)の可逆性狭小化である.

▼病態

 本態はSAHが原因で多因子性に生じる持続性かつ可逆性の異常血管平滑筋収縮である.重篤例では血管壁のリモデリングを伴い,血管拡張薬があまり効かない.症候化には側副血行不良,皮質小動脈や穿通枝動脈のれん縮(微小循環障害),れん縮動脈の内皮障害と血小板血栓の付着,過呼吸や脱水などが関与する.重篤例では脳梗塞の原因になるが,SAH後3週以上経過すると,脳血管れん縮自体は自然回復する.

▼疫学

 発生頻度は脳血管造影上では約70%,SAH患者の約20%で虚血症状,約10~20%で脳梗塞の原因となり,約80%はSAH後3週以内に生じる.

▼診断

 脳動脈径の評価が必須である.

脳動脈収縮の診

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