疾患を疑うポイント
●急性発症の片麻痺や半側身体の感覚障害,構音障害などを呈し,症状が短時間で消失した場合に疑う.
●心血管疾患の危険因子に関する背景がある高齢者に多い.
学びのポイント
●病態は1種類ではなく,血栓性や塞栓性,血行力学性などの病因があり,治療もおのおの異なるため,病態と病因をすみやかに解明することが重要.
●放置すると脳梗塞発症につながる神経救急病態であり,TIAに接した場合には可及的すみやかな対処と治療が必要.
●治療としては抗血小板薬や抗凝固薬などの抗血栓療法を適切に実施する.
▼定義
急性脳梗塞を伴わない,脳や脊髄,網膜の局所虚血によって起きる神経学的機能障害の一時的な発作.
▼病態
脳組織は虚血に対して脆弱であり,必要とされる量の血液供給が途絶えると,虚血に陥った脳組織が担っていた機能の脱落が生じる.TIAは脳虚血が一過性に生じた状態であり,多くは1時間以内に軽快する.
従来,T