疾患を疑うポイント
●急激な血圧上昇・変動,子癇,腎障害,輸血,免疫抑制薬・抗がん剤の使用などの背景因子.
●突然の頭痛,意識障害,けいれん,霧視などの視覚障害など神経症状が出現したときに疑う疾患.
学びのポイント
●内科だけでなく,救急,外科,産婦人科領域でも遭遇する疾患である.
●MRIなどの画像検査にて,脳の後方優位の脳浮腫.
●早期診断が重要であり,すみやかに治療すると,臨床症状,画像所見が改善する症候群.
▼定義
PRESは,1996年Hincheyに提唱された疾患概念.頭痛,意識障害,けいれん,視覚障害などの症状があり,画像検査にて,左右対称性に後方優位の皮質下白質主体の浮腫を認める.治療により臨床症状,画像所見が改善する症候群である.高血圧性脳症〔第3章の→も参照〕は急激な血圧上昇を伴い,脳浮腫を生じ,昏睡,脳出血,死亡に至る.画像検査が乏しかった時代の疾患概念である.定義は異なるが,PR