脊髄を栄養する動脈は椎間孔あるいは大後頭孔を通って脊柱管内に入る.頸椎では椎骨動脈あるいは鎖骨下動脈から分枝した動脈が,胸椎では肋間動脈から分枝した動脈が,腰椎では腰動脈あるいは内腸骨動脈から分枝した動脈が脊柱管内に入り脊髄を栄養する.脊柱管内で硬膜を貫通し,神経根にそって走行するものを根動脈とよぶ.数ある根動脈のなかの一部の動脈が脊髄表面に到達して枝分かれしたのちにほかの根動脈の枝と吻合して3本の脊髄動脈を形成する.1本は脊髄前面の正中を脊髄全長にわたって縦走する前脊髄動脈であり,残りの2本は脊髄後面の左右外側部をそれぞれ縦走する後脊髄動脈である.前脊髄動脈は,全脊髄で平均6本の根動脈が吻合して形成されるが,そのなかで特に太いものにAdamkiewicz(アダムキーヴィッツ)動脈があり,T9からL3レベルまでの左側の根動脈から出現することが多く,下部胸髄から腰仙髄までの血液供給を行う.
診療支援
治療
1 脊髄の血管系
vascular system of the spinal cord
初出:新臨床内科学 第10版
発行:2020年3月
収載:医学書院 医療情報サービス(2024年11月7日 掲-ID:rng_03806-10_a010b002c007z0001)