▼定義
単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)にはHSV-1型とHSV-2型があり,単純ヘルペス脳炎(HSE)の原因はHSV-1型が多い.新生児期は分娩時の経産道感染によるものが大部分であり,HSV-1型とHSV-2型のいずれもが同様に原因となる〔第11章の→も参照〕.
▼病態
小児ではHSVの初感染時に,成人では神経節に潜伏感染していたウイルスが再活性化して引き起こされることが多い.HSV-2による脳炎は年齢を考慮しても予後不良である.HSV-1による脳炎の病変は,一側優位の海馬を中心とする側頭葉内側,直回,島葉,および眼窩回など辺縁系に好発する.これはウイルスが嗅神経を介して中枢神経に侵入する機序に関連している.
▼疫学
先進国ではウイルス性脳炎のなかで頻度が高く急速に重症化することが多い.どの年齢にもみられるが小児や高齢者にやや多くみられ,明らかな性差は
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