疾患を疑うポイント
●高齢者で頭部打撲歴があり,頭部打撲後,2週間ほどしてから,認知機能低下があれば疑うべき.
▼定義
軽微な外傷を契機に,頭部被膜に覆われた流動性の血腫が硬膜下に貯留し,約2週間ほどかけて進行し,認知機能低下をきたした病態.
▼病態
亜急性または慢性に発症する認知機能障害,歩行障害,頭痛などの頭蓋内圧亢進症状,筋力低下(片側が多い)などを示す.認知機能障害は精神活動の遅鈍や記銘力障害が主体で,認知機能障害以外の症状が目立たない例もある.10~20%の症例で急性の意識障害がみられ,こうした急性増悪例では,しばしば血腫内に新たな出血がみられる.症状をきたす臨界血腫量は40~60歳で約95mL,60歳以上で約120mLといわれている.
▼疫学
有病率にはさまざまな報告があるが,1.71人/10万人/年とされ,高齢の男性に多い(男女比3~6:1)とされる.
▼診断
頭部CTまたはMRIで脳