診療支援
治療

5 書痙
writer's cramp
目崎 高広
(榊原白鳳病院・診療顧問)

疾患を疑うポイント

●字を書きにくい(ほかの動作はできる)という主訴で来院することが多い.

学びのポイント

●書痙は局所性ジストニアの一型であり,上肢ジストニアに含まれる.多くの場合,発症時には書字動作のみが困難である.のちにはしばしばほかの動作も困難となる.

●ほかの精密な反復動作でも同様の症状をきたすことがある.音楽家のジストニアに代表される.

▼定義

 脳の運動調節障害として,書字の際に使用する筋の収縮と弛緩とが本来のバランスを失い,書字動作が困難になる疾患である.

▼病態

 多くの場合,書字動作に使用しない筋の不随意収縮が書字動作を妨げる.このため書字の際に,不随意に手指が屈曲する(伸展する)・手首が屈曲する(伸展する)などの異常姿勢を呈する.姿勢は患者によって異なるが,個々の患者では固有である(定型性).書字以外の精密動作を反復することでも同様のジストニアを呈する場合があり,音楽家のジストニア(

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