▼定義
ネマリン小体は,筋線維内にみられる糸屑状の構造物でありGomoriトリクローム変法で黒紫色に染色される(図10-85図a).筋病理においてネマリン小体を認め筋力低下をきたす神経筋疾患のうち,ほかの病態(ミトコンドリアミオパチー,炎症性ミオパチー,セントラルコア病,中毒性ミオパチーなど)に伴う場合を除外したものと定義される.
▼病態
先天型では,フロッピーインファントの像を呈し,嚥下障害,呼吸障害を伴いやすい.顔面筋罹患はあるが外眼筋は保たれる.四肢の筋萎縮・筋力低下は遠位優位である.
▼疫学
出生5万人に1人と推定される.先天性ミオパチーのなかで最も多い疾患である.
▼分類
発症時期により新生児重症型,小児期発症型,成人発症型に分類される.原因遺伝子はこれまでにACTA1,NEB,TPM3,TPM2,TNNT1,CFL2,RYR1,KBTBD13,KLHL40,KLHL41,LMOD3,NEFL,MYPNの13種類同定されている.このうちACTA1遺伝子変異およびMYPN遺伝子変異例では核内にもネマリン小体が認められる.
▼診断
診断基準を表10-49図に示す.
▼治療・予後
早期より呼吸不全をきたす例が多く,リハビリテーション,呼吸器感染予防,人工呼吸器などの呼吸管理がきわめて重要である.また高率に嚥下障害をきたすため経管栄養など適切な摂食・栄養管理も不可欠である.
病型によって予後は異なる.
トピックス
【SLONM】
ネマリンミオパチーのうちで,孤発性で比較的高齢で発症し,亜急性に四肢近位筋優位の筋力低下を呈する一群がありsporadic late-onset nemaline myopathy(SLONM)とよばれている.四肢筋力低下に加え,首下がりや嚥下障害,呼吸障害を示す場合もある.約半数にmonoclonal gammopathy with unknown sig