疾患を疑うポイント
◉Duchenne muscular dystrophy(DMD)
●通常2~4歳頃に転びやすい,走れない,階段の昇降困難などの異常で気づかれ,特有の登攀性起立〔Gowers(ガワーズ)徴候〕をみる.
●乳児期に行った採血で血清CKの高値を指摘され,診断に至る場合も多い.
●脊柱前弯,尖足がみられ,体を左右に揺らして歩く動揺性歩行(waddling gait)を認める.
●腓腹筋などの仮性肥大をしばしば認める.
●約1/3の患者は精神遅滞を合併し,発達障害も合併しうる.発達障害としては自閉症スペクトラム障害,注意欠如多動性障害,学習障害などがみられる.
◉Becker muscular dystrophy(BMD)
●発症年齢は一般にDMDより遅く7歳前後から成人に及び,臨床経過・予後ともに軽症である.DMDに臨床症状は似るが,15歳までは歩行能力が保たれる.成人に達しても筋力低下を示さない例もあり,個人差が大きい.検査所見も基本的にDMDに準じるが,血清CK値の上昇や筋のジストロフィー性変化は軽度である.
▼定義
ジストロフィン(DMD)遺伝子の異常による筋線維の壊死・再生を主病変とし,進行性の筋力低下と筋萎縮をみる疾患である.Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィー(DMD)はX連鎖性遺伝形式をとり,新生男児約3,500人に1人の頻度で発症する.軽症型がBMDであり,DMDではジストロフィン蛋白質が全く発現しない一方,Becker(ベッカー)型筋ジストロフィー(BMD)では少量のジストロフィン蛋白質が発現する〔本章→も参照〕.
▼診断
臨床所見,発症年齢,X連鎖性遺伝を示唆する家族歴に加えて,乳児期からの血清CK高値などからDMD,BMDが疑われた場合,遺伝カウンセリングのもとに遺伝子検査を行う.血液検体を用いたMLPA(multiplex ligation-
関連リンク
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