診療支援
治療

4 レンノックス-ガストー症候群
Lennox-Gastaut syndrome
廣瀬 源二郎
(浅ノ川総合病院・脳神経センターてんかんセンター・センター長)

疾患を疑うポイント

●小児期に強直発作,脱力発作,非定型欠神発作,ミオクローヌス発作が混在して頻回にみられる患児.

▼定義

 1~6歳までの小児にみられる最も難治なてんかん症候群であり,①多彩な持続の短い全般てんかん発作(強直発作,脱力発作,欠神発作,ミオクローヌス発作など)をもつ,②脳波で間欠期にびまん性徐波性(1.5~2.5Hz)棘徐波結合と睡眠中に約10Hzの高振幅速波(速律動,rapid rhythm)群発がみられる(burst of fast rhythm),③知的障害,の三徴をもつ.

▼病態

 基礎疾患として新生児仮死による蘇生後の低酸素性虚血脳症,代謝異常,脳形成異常や遺伝子異常が60%にみられ,残りは原因不明(潜因性)であり,これらに共通する病態は不明である.年齢依存性てんかん性脳症であるWest(ウェスト)症候群太田原症候群が経年的に本症に変容することもよく知られている.

▼疫学

 米国アトランタ市の統計では10歳以下の小児1,000人あたり本症患児0.26人の報告があり,その91%にIQ 70以下の精神発達遅滞がみられる.

▼分類

 発症前に発達障害がなく基礎疾患のない潜因性本症(30%)と基礎疾患のはっきりした症候性本症(70%)に分類されるがともに予後は悪い.症候性West症候群から変容した症例は発症が早期であり予後が特に悪い.

▼診断

 多彩な複数の全般発作と脳波で特徴的なびまん性緩徐棘徐波結合が知的障害とともに6歳までの小児にみられることで診断できる.鑑別としてミオクローヌス失立発作てんかんや徐波睡眠で持続性棘徐波結合(continuous spikes and waves during slow wave sleep:CSWS)を呈すてんかん性脳症がある.

▼治療

 いかなる多剤抗てんかん薬治療にも抵抗し,バルプロ酸,ゾニサミド,ベンゾジアゼピン系薬剤(クロナゼパム

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