診療支援
治療

2 小頭症
microcephaly
下地 一彰
(順天堂大学大学院准教授・脳神経外科学)

疾患を疑うポイント

●頭囲が正常範囲の平均値より,-2SD以下(-3%以下)の場合疑うべきである.

学びのポイント

●頭囲が小さくなってしまう原因は主に2つあり,なんらかの原因で脳の発育が阻害されて頭が小さい場合と,頭蓋骨縫合早期癒合症によって脳の器が小さくなってしまう場合を考える.

▼定義

 正常の小児の頭蓋の大きさは脳実質が正常に増大する過程にあわせて増大する.乳幼児健診で測定する頭囲の異常は脳実質容積,頭蓋骨異常,水頭症などが関連する.頭囲曲線から逸脱した場合,なんらかの異常が起こっていると考える.小頭とは頭囲が正常平均値より-2SD以下(-3%以下)の場合をいう.

▼病態

 原因疾患により病態はさまざまである.四肢の痙直,けいれん,知能障害などを伴うことが多い.

▼疫学

 先天性小頭症の頻度は0.56%とされている.

▼分類

真性小頭症

 生下時よりみられ,原因が明らかでないものと定義される.構造的には正常な脳をもち,軽度~中等度の知的障害がみられる.継続した経過観察および支援が必要である.

先天性遺伝性小頭症

 滑脳症,全前脳胞症など皮質形成異常を伴う奇形による小頭症.重度な知的障害,痙性麻痺,てんかんを伴う.

症候群性小頭症

 染色体異常,先天代謝異常症,神経変性疾患などが原因となる小頭症.生下時の頭囲は正常で後に小頭を呈することが多い.

獲得性小頭症

 TORCH症候群などの胎内感染症による小頭症,妊娠中のアルコールや被曝などによる催奇形物質による小頭症.母体の低栄養,胎盤機能不全による小頭症.また,頭部外傷,低酸素性虚血性脳症,脳内出血などによる小頭症をさす.

▼診断・治療

 頭囲が-2SDを呈した場合,上記疾患を念頭に精査する.基礎疾患検索には血液生化学的検査,尿検査,尿代謝スクリーニング検査が必要.画像診断では頭部CT・MRIにて頭蓋内の異常所見の把握および頭蓋骨縫合早期癒合症をrul

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