診療支援
治療

1 小児の急性脳症
acute encephalopathy in childhood
前垣 義弘
(鳥取大学教授・脳神経小児科学)

学びのポイント

●脳障害をきたす乳幼児の急性疾患のなかで最も多い.

●感染症の経過中にけいれんと意識障害で発症.

●病態として,先天代謝異常と全身炎症反応,けいれん重積,その他に分類され,病態ごとに治療方針が異なる.

▼定義

 急性発症の意識障害(Japan Coma Scale 20以上あるいはGlasgow Coma Scale 10~11以下)が24時間以上持続する状態で,脳炎や髄膜炎,脳血管障害などほかの疾患が否定された場合に診断する.

▼病態

 急性脳症は,主にインフルエンザや突発性発疹などの発熱を伴うウイルス感染症の経過中にけいれんと意識障害で発症する.病原体そのものによる中枢神経系への炎症はない.病理学的には,急激で広範な非炎症性脳浮腫が主体である.急性脳症は,わが国に多いため発症に遺伝的素因の関与が推定されている.

▼疫学

 本邦における疫学調査で,急性脳症の発生は年間400~700人と推定

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