疾患を疑うポイント
●百日咳に特徴的な4つの咳嗽,あるいは症状がある場合や長引く咳嗽で周囲に同様の症状を有する者がいる場合は百日咳を疑う.
●特徴的とされている4つの咳嗽,あるいは症状(成人を含む1歳以上の患者の場合)は「吸気性笛声」「発作性の連続性の咳嗽」「咳嗽後の嘔吐」「息詰まり感,呼吸困難」.
学びのポイント
●百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染による急性気道感染症.遷延性,慢性咳嗽の原因となる.
●感染経路は,鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染,および接触感染.
●ワクチンにより予防可能であるが,接種を行っていない人や接種後年数が経過し,免疫が減衰した人での発病がみられる.
●診断は百日咳菌の分離・同定,あるいはPCR法またはLAMP法において菌が検出されれば確定.抗百日咳毒素抗体(抗PT-IgG),抗IgM抗体,抗IgA抗体測定による血清診断も用いられる.
●治療はマクロライド系抗菌薬が第一選択薬.特にカタル期では有効.
▼病態
グラム陰性桿菌である百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染による急性気道感染症である.一部はパラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)も原因となる.咳嗽の合間に吸気時の笛声(whoop)を認めることから,whooping coughともよばれる.
感染経路は,鼻咽頭や気道からの分泌物による飛沫感染,および接触感染であり,特有のけいれん性の咳発作(痙咳発作)を呈する.感染後7~10日間の潜伏期後にカタル期,痙咳期,回復期の経過をたどる.
➊カタル期(約2週間持続)
潜伏期を経て,普通のかぜ症状で始まり,次第に咳の回数が増えて程度も激しくなる.
➋痙咳期(約2~3週間持続)
次第に特徴ある発作性けいれん性の咳(痙咳)となる.これは連続的に起こる短い咳(スタッカート)に続いて,吸気時に笛声(who
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/エリスロマイシン《エリスロマイシン》
- 治療薬マニュアル2024/クラリスロマイシン《クラリシッド クラリス》
- 治療薬マニュアル2024/アジスロマイシン水和物《ジスロマック》
- 今日の治療指針2024年版/小児のかぜ症候群
- ジェネラリストのための内科診断リファレンス/6 百日咳
- 臨床検査データブック 2023-2024/百日咳菌抗体 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/RSウイルス抗原〔RSV抗原〕 [保] 138点
- 臨床検査データブック 2023-2024/ヒトメタニューモウイルス抗原〔hMPV抗原〕 [保] 142点
- 新臨床内科学 第10版/5 ヒトメタニューモウイルス感染症
- 今日の診断指針 第8版/インフルエンザ
- 今日の小児治療指針 第17版/インフルエンザ
- 今日の小児治療指針 第17版/百日咳