疾患を疑うポイント
●重症度の高い市中肺炎で原因菌が不明な場合には,レジオネラ肺炎の可能性を疑う
学びのポイント
●Legionella pneumophila(うち大部分が血清型1)に代表されるレジオネラによる呼吸器感染症で,菌体を含むエアロゾルを吸入することで経気道感染により発症する.
●臨床像からのレジオネラ肺炎と肺炎球菌肺炎の鑑別は困難なことが多く,肺外の症状や所見の存在,高度な低酸素血症を認める場合はレジオネラ肺炎を疑う.
●最も普及している診断法は尿中抗原検査である.すべての血清型を検出できるキットが登場した.
●レジオネラ肺炎は,診断・治療の遅れが予後不良につながるため,重症度の高い市中肺炎で原因菌が不明な場合には,レジオネラ肺炎の可能性を念頭においた治療を行う.
●レジオネラ肺炎の治療は静注用ニューキノロン系薬が第一選択薬.
▼病態
レジオネラはブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌で,環境中では主にアメーバ内で増殖する細胞内寄生菌である.水系,土壌など自然界に広く生息しており,特に冷却塔,循環式浴槽,温泉などの水流の停滞する環境中で増殖しやすい(20~42℃で増殖,60℃では殺菌される).レジオネラを多量に含むエアロゾルを吸入することで,ヒトの肺胞マクロファージに貪食され感染する.汚染水の誤嚥も感染経路となりうる.
レジオネラ症は,Legionella pneumophilaに代表されるレジオネラによる呼吸器感染症(ごくまれに肺外病変もあり),その病型にはレジオネラ肺炎(在郷軍人病)とポンティアック熱がある.レジオネラ症の国内臨床分離株の収集を行っているレジオネラ・レファレンスセンターの報告(1997~2014年3月末集計)では,臨床分離株316株のうち308株(97.5%)はLegionella pneumophilaであり,そのうち血清型1は262株(82.9%)であった.臨床
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