▼定義
シラミあるいはヒメダニ(Ornithodoros属)によって媒介されるスピロヘータ(回帰熱ボレリア)感染症である.コロモジラミ媒介性Borrelia recurrentis,ヒメダニ媒介性B. turicatae,B. duttoniiなどがヒトに対して感染症を引き起こす.また,近年,B. miyamotoiによる新興回帰熱が報告されている.
▼病態
感染後5~10日間の潜伏期を経て,菌血症による発熱,頭痛,筋肉痛,関節痛,羞明,咳などがみられる.この期間を発熱期とよび通常3~7日間続く.その後いったん解熱(無熱期)し,5~7日後に再び発熱期となる.なお,無熱期中は血中から細菌は認められない.他に肝炎,心筋炎,脳出血,脾破裂,大葉性肺炎などが認められる場合がある.
▼疫学
感染症法の四類対象疾患である.アメリカ大陸,アフリカ,中東,欧州の一部で報告されているが,国内からは1950年代から2009年までは1例も報告されていなかった.2010年,2012年に輸入例,その後国内感染例が報告されている.
▼診断
分離・同定による病原体の検出のほか,暗視野顕微鏡下鏡検などによる検出や,蛍光抗体法による末梢血スメアの観察による病原体の抗原の検出,PCR法による遺伝子の検出が有用である.特に有熱期の血中菌数がきわめて多く検査に有用である.培養はBSK-Ⅱ培地などで分離の報告がある.
▼治療
テトラサイクリン系薬やマクロライド系薬の投与を行う.抗菌薬投与により高率にJarisch-Herxheimer(ヤーリッシュ-ヘルクスハイマー)反応がみられるため注意する.
参考文献
1)Horton JM:Relapsing Fever Caused by Borrelia Species. Bennett JE,Dolin R,Blaser MJ (eds):Mandell,Douglas,and