疾患を疑うポイント
●初感染の水痘の皮疹は,小紅斑から始まり,丘疹,水疱,一部膿疱を形成した後,痂皮化する.
●さまざまな皮疹が混在するのが特徴で,体幹に多く四肢に少ない.有髪部にも認められる.
●VZVは初感染後,脊髄後根神経節に潜伏する.宿主の高齢化などでウイルス特異的細胞性免疫が低下すると,再活性化し帯状疱疹を発症する.
●帯状疱疹の皮疹は,神経支配領域に一致した集簇した痛みを伴う小水疱が特徴で,経過は水痘に類似しているが,出現部位が水痘とは異なる.
学びのポイント
●ワクチンで予防できる疾患(vaccine-preventable disease:VPD)の1つで,水痘ワクチン接種率が高くなり,罹患年齢がワクチン未接種の年長児へと変化している.
●VZVの初感染像が水痘,再活性化による病像が帯状疱疹.
●水痘と帯状疱疹では,発症年齢・部位などが異なる.
▼定義
VZVは,αヘルペスウイルス亜科に分類される〔本章「単純ヘルペスウイルス感染症」の項の表11-17図参照〕.
▼病態
VZVは主に空気感染で拡がる.顕性発症率は高い.初感染は,体幹を中心に丘疹や水疱,膿疱や痂皮などさまざまな皮疹が混在して出現する.これまで,VZVは気道粘膜に感染後,二相性ウイルス血症により全身に散布され発症すると考えられていた.近年,扁桃内のT細胞に感染後,すみやかに皮膚に到達し,増殖する病態も提唱されている.
VZVは,治癒後に脊髄後根神経節に潜伏する.宿主の高齢化,免疫低下状態などで,ウイルス特異的細胞性免疫が低下すると,再活性化し知覚神経を遠心性に皮膚に到達し,支配神経領域に帯状疱疹として発症する.
▼疫学
水痘ワクチン導入前は,幼児から学童期前半までに罹患していた.季節性も冬から春に多かった.水痘ワクチンが定期接種化され接種率が高くなると,疫学も大きく変化した.2014年10月から定期接種が開始された.そ
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