疾患を疑うポイント
●発熱を伴う発疹がある(通常は発熱と同時に発疹が出現する).
●鼻汁,くしゃみ,咳嗽などのカタル症状は認められない.
●耳介後部,後頭部のリンパ節腫脹.
学びのポイント
●風疹ウイルスの飛沫感染,接触感染により起こる感染症で,発熱,発疹,リンパ節腫脹が特徴.
●発症した場合の典型的な経過は,発熱と同時に紅斑性斑状丘疹が顔から全身に広がり,平均3日で終息する.
●妊娠中に感染すると胎児に感染し,先天性風疹症候群を発症する〔特論(→)参照〕.
▼定義
風疹ウイルスの飛沫感染,接触感染により起こる発熱,発疹,リンパ節腫脹を伴う感染症である.
▼病態
風疹ウイルスはトガウイルス科ルビウイルス属に属するRNAウイルスで,エンベロープを有する.上気道分泌物からの飛沫感染,接触感染により発症し,麻疹と比べて感染力は弱く,不顕性感染が多い(感染を受けた者の25~50%).潜伏期間は通常16~18日,曝露後14~21日の間は発症する可能性がある.発疹が出現する7日前から発疹出現14日後まで感染力がある.
発熱,発疹,リンパ節腫脹,関節痛,全身倦怠感が主要な症状である.発熱は約半数の症例でみられるが微熱の場合も多く,カタル症状はあまり強くはない.発疹は2~5mmの細かい斑状丘疹で,顔面から始まって体幹,四肢へ広がる.約3日間で解熱,発疹は消退し,色素沈着や落屑は残さない.類似の発疹を呈する発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が難しく,臨床症状のみからの診断は困難で,確定診断のためには検査室診断を要する.リンパ節腫脹はしばしば発疹よりも先に出現し,耳介後部や後頭部のリンパ節腫脹が特徴的である.
合併症として3,000人に1人の頻度で血小板減少性紫斑病を,6,000人に1人の頻度で急性脳炎を起こす.また妊婦が罹患すると胎児に先天性風疹症候群(congenital rubella syndrome:CR
関連リンク
- 新臨床内科学 第10版/先天性風疹症候群
- 今日の治療指針2023年版/デング熱,チクングニヤ熱 [■4類感染症]
- 今日の治療指針2023年版/レプトスピラ症(ワイル病など) [■4類感染症]
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/風疹
- 臨床検査データブック 2023-2024/水痘・帯状疱疹ウイルス抗体〔VZV抗体〕 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/風疹ウイルス抗体 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/風疹
- 新臨床内科学 第10版/7 麻疹(はしか)
- 新臨床内科学 第10版/18 デング熱
- 今日の診断指針 第8版/ウイルス性出血熱
- 今日の診断指針 第8版/風疹(先天性風疹症候群含む)