疾患を疑うポイント
●免疫抑制患者において考慮すべき疾患である.
●全身臓器に感染するので,疑うことが診断につながる.
学びのポイント
●サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)という名称は,CMVが感染した細胞(cyto-)を巨大化(megalo-)させることに由来.
●CMV感染は,非常によくみられる病気で,抗体保有率は年齢とともに上昇し,成人では60~90%がCMV感染歴を有する.
●CMVは,重症度の異なるさまざまな感染症を惹起する.
●新生児および易感染性患者では,重度の全身性疾患が発生することがある.
●健常者では,伝染性単核球症に類似するものの,重度の咽頭炎を欠いた症候を認める.
●免疫抑制患者におけるCMV感染症は,体内に潜伏感染していたCMVの再活性化による.
●免疫抑制患者,またはAIDS患者などにおいては,間質性肺炎,腸炎,髄膜炎,または網膜炎を発症する.
▼定義
サイトメガロウイルス(CMV,ヘルペスウイルス5型)による感染症.
▼病態
CMVは血液,体液,または移植臓器を介して伝播する.感染は経胎盤的または経産道的に成立しうる.CMVは,体の分泌物と接触(性的接触,または非性的接触)することで感染する.また宿主の免疫状態によって,重症度の異なるさまざまな感染症を惹起する.
➊先天性CMV感染症(TORCH症候群)
妊婦がCMVの初感染,再感染を受けた場合,あるいは再活性化を認めた場合,ウイルスが胎盤を経由して胎児に感染することによる.先天性感染は,無症候性のこともあれば,流産,死産,または出生後死亡の原因となることもある.合併症としては,広範な肝障害や中枢神経系障害などがある.
➋新生児,乳児期感染
産道での感染,母乳を介した感染,尿や唾液を介した水平感染による.ただし母体からの移行抗体により,多くは不顕性感染か,あるいは軽症に経過する.ただし早産児や低
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