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治療

19 ジカウイルス感染症
Zika virus infection
島田 智恵
(国立感染症研究所・感染症疫学センター・主任研究官)

疾患を疑うポイント

●流行地への渡航歴.

●発疹,頭痛,筋肉痛,発熱などを呈するが概して軽症.

学びのポイント

●性行為や胎盤を介してヒトからヒトへ感染する.

●ジカウイルスは1947年ウガンダではじめて同定され,ヒトの感染症は「軽症の蚊媒介感染症」と認識されていた.

●ところが2013年以降,南太平洋地域や南米の国々でGuillain-Barré症候群や小頭症などとジカウイルス感染症との関連が明らかになった.

▼定義

‍ ジカウイルスによるウイルス性感染症.

▼病態

 蚊媒介感染症であり,ネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(A. albopictus)によって媒介される.

 約80%は不顕性感染.発症する場合,多くは2~7日(2~12日)の潜伏期間を経て,発疹,頭痛,筋肉痛,発熱などの多彩な症状を呈する.ジカウイルス感染によるGuillain-Barré(ギラン-バレー)症候群を含む神経障害や先天異常の機序や予後については今後の知見がまたれる.

▼疫学

 媒介蚊が生息する国で患者が発生している.2013~2016年に,それまでジカウイルス感染症が報告されていなかった南太平洋や南米で流行し,ブラジルでは2016年だけで患者数は20万人を超えた.そうしたなか,ジカウイルス感染症とGuillain-Barré症候群や小頭症との関連が確認された.

▼分類

 ジカウイルスに感染し症状を呈する場合をジカウイルス感染症とよぶ.2016年に感染症法上の四類感染症に指定され,病型をジカウイルス病と先天性ジカウイルス感染症に分類している.

▼診断

 流行地域への渡航歴があり,発疹,発熱,関節炎,結膜炎などを呈する場合,鑑別診断に挙げる.母体にジカウイルス感染が疑われ,胎児に小頭症などを認める場合には先天性ジカウイルス感染症を鑑別する.RT-PCR法や蛍光RT-LAMP法によるウイルス遺伝子の検出,特

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