7　抗真菌薬 | 医学書院_医療情報サービス

　アムホテリシンB薬はポリエン系抗生物質であり，真菌の細胞膜のエルゴステロールと結合し，膜に小孔をつくることにより殺菌的に作用する．アムホテリシンBはカンジダ属，アスペルギルス属など多くの真菌に対して効果のある，最も抗菌スペクトルの広い抗真菌薬である．静注薬のみが存在する．これによる腎障害や発熱などの副反応がみられることが課題であるが，アムホテリシンBのリポソーム製剤薬であるリポソーマルアムホテリシンBではこれらの副反応の頻度は下がっている．

　フルコナゾール薬は代表的なアゾール系薬剤であり，真菌細胞膜におけるエルゴステロールの合成を阻害することによって抗菌作用を示す．経口薬と静注薬が利用可能であり，半滅期が長く組織移行性が良好である．カンジダ感染症に対して特に有効であるが，C. glabrataおよびC. kruseiに対する効果は新世代のアゾール系薬に劣る．フルコナゾールはアスペルギルス症，ムコール症などの糸状菌感染症には無効である．

　イトラコナゾール薬薬はアゾール系薬剤であり，フルコナゾールよりやや抗菌スペクトラムが広く，口腔咽頭カンジダ症，白癬，爪白癬などの粘膜皮膚真菌症の治療に用いられている．またコクシジオイドーシス，スポロトリコーシスなどへの有効性が認められている．ただし経口薬ではカプセル製剤の吸収が一定しないことなどが問題点として挙げられている．

　ボリコナゾール薬はカンジダ属菌種に対して広いスペクトルを有し，アスペルギルス，スケドスポリウム，フサリウムなどにも広く活性を示す．ボリコナゾールはアスペルギルス症に対する第一選択薬としてよく用いられている．ボリコナゾールは肝臓のチトクロームで代謝されるがその代謝には遺伝的多様性があるため，血中濃度には個人差が出てくる．よって使用においては血中濃度の測定が必要である．

　キャンディン系薬薬剤にはカスポファンギンおよびミカフ