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【3】ワクチンの種類と接種制度
多屋 馨子
(国立感染症研究所・感染症疫学センター・室長)

 日本で接種可能な予防接種の種類が増えたことに伴い,0~1歳児の予防接種スケジュールが過密になっている.日本では2008年頃まで接種可能なワクチンの数が少なく,ほとんどのワクチンは単独接種で実施されてきたが,現行の定期接種,推奨される任意接種をすべて受ける場合,単独接種で実施することは困難であり,同時接種が多く行われるようになった.

▼日本で接種可能なワクチンの種類

 2019年現在,日本で接種可能なワクチンの種類を示す(表11-28)定期接種として接種可能なワクチンが18種類,任意接種として接種可能なワクチンが10種類(帯状疱疹予防ワクチンは,50歳以上で水痘ワクチンを受ける),国家備蓄として2種類がある.

 接種スケジュールについては,被接種者の体調,生活環境,基礎疾患の有無などを考慮して,かかりつけ医あるいは自治体の担当者と保護者が相談して決める必要がある.

 定期接種として受けられる期間,そのなかでも特に推奨される標準的な予防接種期間に受けるように努める.また,定期接種には含まれていないが,医薬品医療機器等法に基づいて製造販売承認されているワクチンもあり,これらは任意接種として接種可能である.

▼日本の予防接種の制度

 日本独自の予防接種の制度がある.まず,生ワクチン接種後は,別の種類のワクチンを受ける場合,中27日以上あけることが定められている.また,不活化ワクチン接種後は,別の種類のワクチンを受ける場合,中6日以上あけることが定められている.同じ種類のワクチンを複数回受ける場合は,免疫の獲得状況などを考慮して,適切な接種間隔が定められている.特に定期接種のワクチンの場合は,これらの制度をよく理解しておく必要がある.ただし,基礎疾患の治療のために,定期接種の期間内に接種ができなかった場合は,一部のワクチンには対象年齢の上限があるが,治癒後2年間(高齢者の肺炎球菌感染症予防

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