診療支援
治療

1 アレルギー性結膜炎
allergic conjunctivitis
加藤 直子
(南青山アイクリニック)

疾患を疑うポイント

●小児から高齢者のいずれの年齢でも発症する.

●目のかゆみがある.

●症状の出現は,アレルゲン曝露と関連がある.

●アトピー性皮膚炎罹患者,春季カタル患者では重症化して視力低下をきたすことがある.

学びのポイント

●花粉による季節性アレルギー性結膜炎,家塵ダニによる通年性アレルギー性結膜炎の診断では問診が重要.

●治療は,アレルゲン曝露を避けることと局所の薬物療法(点眼薬処方).

●春季カタルなどの重症型には免疫抑制薬を用いる.

▼定義

 Ⅰ型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患で,なんらかの自覚症状を伴うものと定義されている.単にアレルギー素因を呈するだけではなく,結膜の炎症性変化と瘙痒感,眼脂,流涙などの自覚症状を伴う.

▼病態

‍ 季節性アレルギー性結膜炎(seasonal allergic conjunctivitis:SAC)通年性アレルギー性結膜炎(perennial allergic conjunctivitis:PAC)では,アレルゲン曝露によりマスト細胞の細胞膜上に存在するアレルゲン特異的IgEが架橋され,脱顆粒を起こしてヒスタミンなどのケミカルメディエーターを遊離する.ケミカルメディエーターの作用によりかゆみや血管透過性の亢進が起き,Ⅰ型アレルギー反応が起こる.

 重症型アレルギー性結膜炎では,眼局所にTh2細胞とIgE産生B細胞が浸潤,Th2細胞はIL-4やIL-13などのTh2サイトカインを産生し,結膜の細胞からのエオタキシンなどの好酸球走化性因子の産生を刺激する.好酸球由来の細胞傷害性蛋白質の影響により,角膜にも傷害が及ぶ.

▼疫学

 2017年の東京都のスギ花粉症の有病率は48.8%と推定されており,そのうちの1/3から半数が結膜炎症状を伴っている.アレルギー性結膜炎患者の内訳は,PACは約50%,SACが40%,アトピー性角結膜炎が15%,重症型の春季

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