診療支援
治療

(2)好酸球性胃腸炎
eosinophilic gastroenteritis(EGE)
今枝 博之
(埼玉医科大学教授・消化管内科)

▼定義

 胃・小腸・大腸を中心に全消化管に好酸球が浸潤し,多彩な消化器症状を呈する疾患〔第4章「好酸球性消化管疾患」の項()も参照〕.

▼病態

 特定の食物や空気中の抗原が刺激となってIL-5,IL-13などのTh2系サイトカインが誘導され,Th2優位の過剰な免疫応答によって惹起される慢性のアレルギー反応が原因の1つと考えられている.

▼疫学

 欧米では1~28人/10万人の有病率であり,EoEよりもEGEの患者数が少ない.日本では逆にEoEよりもEGEのほうが多いとされている.2004~2009年までの厚生労働省研究班における全国調査では144例で,平均年齢46歳(7~85歳),男性が54%と男女比はほぼ同等である.

▼分類

 Kleinらは好酸球浸潤をきたす部位と臨床像によって,①粘膜浸潤型,②筋層浸潤型,③漿膜浸潤型に分類している.しかし,これらの分類による治療法の選択に差異はないとされている.

▼診断

 小腸や大腸病変では腹痛・下痢が38%と多く,胃病変では心窩部痛が多くみられる.気管支喘息やアレルギー性鼻炎,食物アレルギー,アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患を約半数に合併している.末梢血好酸球増加が88%と多数に認められている.

 内視鏡所見では,発赤,びらん,浮腫,潰瘍などを認めるが,特異的なものではない.CTで半数に消化管の壁肥厚や,半数以上に腹水を認める(図12-27).生検による病理組織学的所見として好酸球主体の炎症細胞浸潤を認め,20個以上/HPFの好酸球の存在が基準となる.腹水がみられる場合には腹水中に多数の好酸球の存在が基準となる.

 わが国は2010年に厚生労働省班会議での診断指針(案)が提唱され,その後2015年に改訂されている(表12-20)

▼治療

全身性ステロイド療法

 最も有効な治療であり,プレドニゾロン20~40mg/日を投与する.減量の時期やスピー

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