診療支援
治療

9 混合性結合組織病
mixed connective tissue disease(MCTD)
藤井 隆夫
(和歌山県立医科大学教授・リウマチ・膠原病科学)

疾患を疑うポイント

●好発年齢は30~40歳代で,初発症状はRaynaud現象と関節炎が大半を占める.初発時は抗核抗体(抗U1-RNP抗体)が100%陽性である.

●PAH合併には常に注意する.

学びのポイント

●1972年にアメリカのGordon C Sharpらによって提唱された疾患である.全身性エリテマトーデス(SLE)様,全身性硬化症(SSc)様,多発性筋炎(PM)様の症状が混在し,血清学的に抗U1-RNP抗体の高力価陽性を特徴とする.

●PAH,三叉神経障害,無菌性髄膜炎の合併頻度が高い.

●治療はステロイド療法を基本とするが,中等量で十分であることが多い.しかしPAHは最も重要な生命予後不良因子であり,ステロイド大量療法に加え免疫抑制薬および肺血管拡張薬を併用する.

▼定義

 全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),全身性硬化症(systemic scleroderma:SSc),多発性筋炎(polymyositis:PM)などにみられる症状や所見が混在し,血清中に抗U1-RNP(ribonucleoprotein)抗体がみられる疾患と定義される.抗U1-RNP抗体が陽性であっても上記の膠原病の分類あるいは診断基準を満たす場合には除外され,MCTDと診断しないことが多い.

▼病態

 SLE,SSc,PMなどほかの膠原病と同様,多臓器の炎症を伴う全身性自己免疫疾患であるが,その病態は本疾患の特徴である抗U1-RNP抗体陽性と関連するものが多い.ただし同抗体の直接的な病原性は不明である.

▼疫学

 1:13~16と女性が圧倒的に多い.好発年齢は30~40歳代であるが,小児から高齢者まであらゆる年齢層に発症する.2014年の個人調査票による調査ではわが国で11,000人以上が登録されている.

▼診断

 わが国では厚生労働省基準(表13-14

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