疾患を疑うポイント
●細菌感染症(特に髄膜炎菌など)を繰り返す.
●CH50が常に感度以下のSLE様症状.
●家族性や血便を伴わないHUS.
●家族性,発作性,限局性の皮下浮腫の存在.
学びのポイント
●補体の成分と活性化/制御システムを理解する.
●補体システムの異常は機能の過剰亢進,機能不全に起因し,両者がさまざまな病態の基盤となる.
●CH50が何を評価しているのかを理解する.
▼定義
補体は自然免疫の重要な一翼を担っているシステムである.30種類以上の分子によって構成され,「古典」「レクチン」「第二」の3経路からなる補体の活性化/制御にかかわっている.これらの分子の遺伝子異常によってさまざまな病態が引き起こされる.
▼病態
補体システムでは機能の過剰亢進,機能不全の両者がさまざまな病態の基盤となる.補体欠損症は自然免疫系の免疫不全症を呈し,特に後半成分C5~9の欠損では特徴的な(ナイセリア属)易感染性を示す.活性化制御の補体欠損には非典型的溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS.H因子欠損,I因子欠損など),遺伝性血管浮腫(hereditary angioedema:HAE.C1-INH欠損)がある.また,補体には免疫複合体を処理する機能もあり,その欠損では高い頻度で全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)様症状などを合併する.
▼疫学
補体欠損症はきわめてまれであるが,C9欠損症は東アジア,特に日本人に比較的多い疾患で,95番目のアルギニンが終止コドンとなる変異をもつR95X保因者は日本人の6.5%という報告がある.
▼分類
各補体分子,補体制御分子の欠損症などがあり,IUIS 2017年の分類では30疾患が登録されている.
▼診断
繰り返す細菌感染(特に髄膜炎菌などのナイセリア属
関連リンク
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