診療支援
治療

(1)テオフィリン,カフェイン
theophylline,caffeine
大谷 典生
(聖路加国際病院・救急部・救命救急センター医長)

疾患を疑うポイント

●患者来院の主訴は嘔気であることが多い.

●嘔気症状に合わせ,頻拍,頻呼吸,低カリウム血症,乳酸アシドーシスを認める場合,キサンチン誘導体による中毒を疑う.

学びのポイント

●時として致死的となる.

●排泄促進のため急性血液浄化療法も考慮する.

●循環破綻をきたした場合は,経皮的循環補助装置(PCPS)も治療の選択肢となる.

▼概説

 テオフィリンは喘息,慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)などの呼吸器疾患治療薬として処方される薬剤である.一方,カフェイン製剤は眠気防止剤やサプリメントとして比較的容易に入手が可能である.キサンチン誘導体中毒は,重症となると死亡転帰をとるため注意が必要である.

▼毒性のメカニズム

 キサンチン誘導体中毒は,一般に,以下の4つのメカニズムによって毒性を呈するとされている.

アデノシン受容体に対する競合拮抗作用

 アデノシン類似の構造式をとることからアデノシン受容体に対する競合拮抗作用を呈する.結果として,けいれん閾値低下,期外収縮惹起などが生じる.

内因性カテコールアミン遊離の促進作用

 副腎髄質からのカテコールアミン遊離を促進し,あわせてカテコールアミン代謝を抑制するため,血中カテコールアミン濃度を上昇させる.結果,βアドレナリン受容体刺激作用が出現する.

呼吸中枢への直接刺激作用

 呼吸中枢を直接刺激し,頻呼吸・大呼吸を呈する.

ホスホジエステラーゼ阻害作用による細胞内cAMP増加作用

 細胞内cAMP濃度上昇に伴い,末梢血管拡張,心筋刺激作用,中枢神経刺激作用が出現する.

▼中毒症状

 キサンチン誘導体中毒においてみられる諸症状は表14-13の通り.

▼治療

全身管理

1)嘔気に対して

 制吐薬が使用されるが,一般的に難治性である.

2)中枢神経症状に対して

 不穏・興奮・せん妄・けいれんに

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