▼概説
グルホシネート(glufosinate)は,1984年に農薬として登録され除草剤として広く使用されている.当初はヒトへの毒性は低いと考えられていたが,実際の経口摂取による中毒例では重症化する例,死亡例が散見されている.本中毒では,服毒直後は比較的軽症にみえても,6~48時間程度の症状に乏しい時期,いわば潜伏期の後に,けいれんや呼吸停止など重篤な症状が出現する点が特徴で,診療する際に注意するべきポイントとなる.
▼毒性のメカニズム
グルホシネート含有除草剤は,主成分であるグルホシネートと展着剤として添加される界面活性剤を含んでおり,それぞれが毒性に関与すると考えられている.
グルホシネートはリンを含むアミノ酸で,植物においてはグルタミン合成酵素を阻害することによって除草剤としての作用を発揮する.人体に摂取された場合の毒性のメカニズムは不明な点が多い.グルタミン合成酵素を阻害し神経伝達物