今日の診療
治療

4 シアン化物
cyanide
中谷 宣章
(埼玉医科大学病院・総合診療内科講師)

▼概説

 従来は青酸カリ(シアン化カリウム)や青酸ソーダ(シアン化ナトリウム)などの中毒事故や意図的な摂取などがあったが,近年は火災時にポリウレタンなど建築素材の燃焼により発生する青酸ガス(シアン化水素)が多い.

▼毒性のメカニズム

 シアン化カリウム,シアン化ナトリウムは,服用すると胃酸と反応してシアン化水素となる.消化管よりすみやかに吸収され,摂取後1時間で血中濃度はピークに達する.シアン化水素は吸入により肺からも吸収される.

 シアン化物を摂取するとシアンイオン(CN-)は細胞内ミトコンドリアにあるチトクローム・オキシダーゼの活性中心にあるヘム鉄(Fe3+)と結合して失活させる.このため好気性代謝が阻害され細胞内のATPは急速に枯渇する.また,細胞が動脈血から酸素を取り込むことができなくなる.さらに,嫌気性代謝が進行し,乳酸が蓄積し代謝性アシドーシスとなる.細胞が利用できるATPと酸素の減少

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