▼概説
高度上昇に伴い気圧および大気中の酸素分圧が低下することにより生じる病態.高山病はさらに急性高山病(acute mountain sickness:AMS),高地脳浮腫(high-altitude cerebral edema:HACE),高地肺水腫(high-altitude pulmonary edema:HAPE)の3つに分類される.AMSは「海抜2,500m以上の高地へ急速に到達した6~12時間後に,中等度以上の頭痛に加えて,悪心,食欲不振,疲労,めまい,睡眠障害のうち1つ以上の症状を伴うもの」と統一の定義がある.HACEおよびHAPEは,おおむねAMSが進行した重症型だが,必ずしもAMSの徴候を示さない.
▼発症のメカニズム
低圧,低酸素環境に対して,過換気,脈拍増加,肺動脈上昇などの順応反応が起こる際に発症する.血管拡張,血流増加に伴う静水圧上昇,血管透過性亢進,Na+/K+-ATPase機能不全,Naの貯留などから浮腫が生じ,重症例では脳浮腫や肺水腫をきたす.
▼症状
AMSの主症状は頭痛だが,ほかに頻度の高いものに食欲不振,悪心,睡眠障害,めまい,末梢の浮腫がある.重症化を示唆する症状は,頭痛薬でも治らない激しい頭痛,嘔吐,傾眠,回転性めまい,運動失調,感情鈍麻などである.
▼予防・治療
➊予防
緩徐に高度を上げることが最も確実だが,アセタゾラミド薬125mg,1日2回,登山の1日前から内服を開始する.事前にアセタゾラミドの効果が不十分と判明している場合は,デキサメタゾン薬を1回2mg,1日4回,登山当日から開始する.
➋治療
早期に病状を認識して高度を下げることが重要である.可能ならば酸素を投与する.薬剤としてはアセタゾラミド薬125mgを1日2,3回服用する.高山性頭痛に対してはアセトアミノフェン薬,アスピリン薬,イブプロフェン薬などの鎮痛薬を投与する.脳浮
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