診療支援
治療

脊髄造影
Myelography
加藤 賢治
(名古屋市立大学 助教)

【概説】

 脊椎穿刺により造影剤をくも膜下腔に注入し,X線撮影,およびCT撮影を行う.水溶性非イオン性造影剤を使用するようになり副作用は軽減されてきたが,それでも副作用の危険があり侵襲性の高い検査である.最近ではMRIの発展により脊髄造影を行う機会は減ってきた.

【適応】

 よい適応はMRI検査ができない場合である.例えば体内金属の問題,閉所恐怖症,体が大きくMRI装置に入れない,脊椎固定術後のためアーチファクトが強く描出が困難な場合などである.また,MRIでは狭窄が高度でないものの症状が強く,動的不安定性による狭窄を疑う場合は脊髄造影での動態撮影が有用である.分解能はMRIよりCTのほうが勝るため,神経根の破格など詳細な画像診断には脊髄造影後CTが有用なこともある.


合併症

 造影剤過敏症のある患者は禁忌とされている.主な合併症は頭痛,嘔気である.検査後のヘッドアップでの安静,鎮痛薬の使用,補液により多くは数日で軽快する.検査中に患者が下肢痛などを訴える場合は,症状が悪化することもあり無理な造影剤注入はしないようにする.また感染(髄膜炎),出血(硬膜外血腫)にも注意が必要である.


実施手順

 飲水制限はしていないが直前の食事は中止する.造影剤は水溶性非イオン性のイオトロラン(イソビスト®240)またはイオヘキソール(オムニパーク®240)が広く用いられている.必ず穿刺する術者本人が確認しバイアルから吸引する.腰椎のみの場合は8~10mL,頚椎まで描出する場合は12~15mLを使用している.

【1】造影剤注入

 ①MRI画像が参考にできる場合は確認し,穿刺はL2/3またはL3/4で行うことが多い.L1/2では脊髄レベルになる可能性があり,L4/5では通常狭窄部位であり刺入困難なことが多い.

 ②患者はX線透視台に腹臥位とする.腹部にバスタオルを巻いた枕を入れ,やや腰椎前弯を軽減し,棘間を開大す

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