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治療

椎間板造影
Discography
川口 善治
(富山大学 教授)

【概説】

 椎間板へ少量の造影剤を注入する検査法である(図1-8).造影剤の注入が腰痛などの症状を再現するか否かによって当該椎間板が症状の原因となっているかを検査するものである.よって現在は画像検査というよりも機能的検査の役割が大きい.造影後に局所麻酔薬を注入し,症状の軽快の有無を確認する椎間板ブロックも行われることがある.ただし,椎間板造影および椎間板ブロックの診断的価値については,いまだ議論の余地がある.MRIが普及する以前は,椎間板造影によって椎間板の形態変化から椎間板変性の程度を判断していたが,MRI画像の質が高くなったことで現在は形態的評価の診断的価値は低い.しかし,MRIが撮像できない症例や外側ヘルニアで描出が困難な症例では本検査が施行されることがある.

 椎間板は人体最大の無血管組織であるため,椎間板造影によって感染が引き起こされる可能性があることが問題点として挙げられる.また椎間板造影自体が長期経過のなかで椎間板変性を助長するという報告がある.よって本検査の適応は慎重に検討すべきである.


実施手順

【1】準備するもの

・頚部の場合は21または22Gのスパイナル針.

・腰部の場合は21または22GのPTCD針.

・イオヘキソール注射液,穴あきドレープ,局所麻酔薬.

・X線透視装置(2方向透視があれば便利だが,1方向でも可能).

【2】頚椎椎間板造影

(1)体位と準備

 患者を仰臥位とする.頚部を軽度後屈位とする.当該椎間板の位置をX線透視で確認する.正面,側面が正確に観察できるように管球を振る.

(2)実際の手技

 頚部に広めの消毒を行う.通常は患者の右側に立つが,症状側の反対側からの刺入を試みることもある.刺入点を決めたら局所麻酔を行う.片方の指で椎体の前面を確認する.このとき頚動脈の拍動を外側に感じる.胸鎖乳突筋と頚動脈は外側によけ,気管と食道は内側にしっかりとよけてスパイナル針

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