診療支援
治療

シンチグラフィー
Scintigraphy (Radionuclide imaging)
隅屋 寿
(富山大学附属病院 診療教授(放射線科))

【概要】

 ラジオアイソトープで標識した放射性医薬品を人体に投与し,その分布をガンマカメラで撮像するのがシンチグラフィー検査である.

【種類】

 整形外科領域で使用される検査としては,骨シンチグラフィーおよび201Tl(タリウム)や67Ga(ガリウム)などの腫瘍シンチグラフィーがある.シンチグラフィーではないが,FDG-PET検査も使用される.近年SPECT/CT装置やPET/CT装置が普及し,SPECTやPET像とCT像を重ね合わせたフュージョン画像により,異常集積の解剖学的情報が容易に得られるようになった.なお,海外で広く使用されている99mTc-MIBIは,わが国では骨軟部腫瘍には保険適用がない.

【適応】

 骨シンチグラフィーは,悪性腫瘍の骨転移検索や原発性骨腫瘍の単発性・多発性の鑑別などに用いられる.また腫瘍類似疾患の単発性・多発性の鑑別や骨折,炎症性疾患,代謝性骨疾患病変の全身分布評価,さらに人工関節置換術後の感染・弛みの評価,骨痛・関節痛の活動性・全身分布評価などにも用いられる.良悪の鑑別については他の検査との組み合わせにより可能な場合もあるが,単独では困難である.ただし,無集積の場合はかなりの高確率で良性が示唆される.

 腫瘍シンチグラフィーやFDG-PET検査は骨病変の良悪の鑑別ではなく,遠隔転移評価や術前化学療法の治療評価を主目的として用いる.適応は基本的に悪性腫瘍と診断されているか,悪性の可能性が高い症例となる.ただし肺転移検出にはX線CTがより有用である.治療評価にはタリウムシンチグラフィーまたはFDG-PET検査を用いる.化学療法前後に検査を施行し,腫瘍への集積低下の程度から推測された治療効果予測は組織学的治療効果とよく相関するが,現時点(2020年11月)でFDG-PETは治療効果予測としての保険適用がない(申請中).また,局所再発の検出にも有用である.腫瘍

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